以下では、実用新案権に関する概要を説明しています。すべての事柄を網羅しているわけではないので、何か気になることなどありましたら、お気軽にお問い合わせください。

実用新案権とは?

一言であらわすと(厳密な定義ではありません)、

考案という創作物を一定期間独占できる権利

ここで、「考案」とは、「発明」と同じく創作の結果生まれたものですが、「発明」ほど技術的に高度でない創作物を指します。また、「考案」は、「発明」と異なり、対象が「物品」に限定されます。方法、製造方法、ソフトウェア、化学物質といった創作は、特許権の保護対象であり、実用新案では対象外となります。

「一定期間」は、言い換えると、実用新案権が設定登録されてから実用新案権が切れるまでの期間です。実用新案権は、特許庁へ権利取得のための手続きをした日(出願日)から10年間存続しますが、出願日から設定登録されるまでに少し時間がかかるため(平均約半年弱)、実際には10年弱となります

実用新案権を取得するメリットは?

  • 他社による模倣に対抗!(使用差止、損害賠償請求、税関における輸入禁止、警察による取り締まり)
  • 他社にライセンス(実施許諾)をしてライセンス料が得られる!
  • 特許より手軽に権利取得できる!(無審査で登録されるため、出願~登録までが短期間。特許より進歩性の判断がゆるい。権利取得にかかる費用が特許より安い。)

以上が実用新案権のメリットですが、残念ながら以下のデメリットもあります…

  • 特許の半分の期間で権利が消滅(存続期間:特許=20年、実用新案=10年)。
  • 特許と比べて差し止めや賠償請求に手間がかかって面倒(権利行使の際に実用新案技術評価書が必要)
  • 権利が無効にされるリスクあり(無審査で登録されるため、権利の有効性に問題があるおそれあり)

実用新案権を取得するタイミングは?

考案を利用した商品やサービスをリリースする前に、実用新案権を取得するための手続き(出願)をする必要があります。世の中になんらかの形で知られてしまった考案(SNSでの告知なども含まれます)は、出願して登録になり権利が取得できても、新しい考案ではない(新規性なし)との理由(無効理由)で無効にされても当然の権利、言うなれば爆弾を抱えた権利となるからです。

出願準備にある程度時間がかかることを考えると、商品やサービスが完成する前に、ある程度アイディアが固まった段階で弁理士に相談するのがベストです。

なお、商品やサービスを公表してしまってから1年経っていない場合は、救済規定を利用することができる場合があるので、弁理士に相談してみてください。

また、とりあえず早く権利化したい場合には、先に手軽な実用新案権を出願しておいて、後で(ただし3年以内)同内容で特許出願をすることもできます。

実用新案権を取得するための手続きとは?

特許庁に対し、実用新案登録出願として、必要書類を提出します。具体的には、特許出願と同様に、「願書」「実用新案登録請求の範囲」「明細書」「図面」「要約書」という5種類の書類を提出します。

特許庁への手続きをイーリス特許事務所に依頼するメリットは?

実用新案登録出願は、法律上は、実用新案権を取得したい会社や個人で自ら行うことができますが、書類の作成が難しいので、特許事務所や弁理士に依頼することが多くなっています(実際に、本人による出願は、全出願の約20%です)。

大手特許事務所や中小特許事務所を含め数多の依頼先がありますが、弊所に依頼すると以下のメリットがあります!

  • 代表弁理士である作山が書類作成をはじめとして全て対応します!
    個人事務所であるので、当たり前すぎますが、このことが意外ととても重要なポイントと言えます!なぜならば、大手事務所や、ある程度の従業員がいる中小規模の事務所では、実際に書類作成などの作業をする人物が、顧客窓口を担当している弁理士ではなく、弁理士資格を有しない特許技術者等の従業員である場合が往々にしてあるのです。最終チェックは、担当弁理士が責任をもって行っているとは思いますが、内情はわかりません…弊所であれば、間違いなく、私(弁理士 作山)が対応します!
  • 実用新案の価値は、出願書類に記載された内容で決まるといっても過言ではないからこそ、確かな品質の文書を作成します!
    実用新案権を取得するためには、出願書類として、考案を言葉で説明する文書を作成しなければなりません。また、実用新案権の権利範囲は、出願書類のうち「実用新案登録請求の範囲」の記載に基づいて決まります。
    そして、「実用新案登録請求の範囲」を含む出願書類は、ある程度様式は決まっているものの、書く人の裁量による部分がほとんどであるため、同じ考案を表現するにも十人十色となります。また、特に、「実用新案登録請求の範囲」においては、権利範囲が広くなるように、一つ一つの用語を慎重に選び抜くことが重要になってきます。
    つまり、いかに質の良い出願書類を作成するかということが重要であり、質の良し悪しは、弁理士本人の文章力と、丁寧な仕事をしようとする誠意によって決まります。
    弊所であれば、決して格安・超スピード対応はいたしませんが、確かな文章力でもって、誠意を込めて文書を作成いたします。なお、文章力については、(自慢話に聞こえるといやなのですが)弁理士論文試験の全国模試で1位になった経験がありますので(後日在宅受験の数人に抜かされてしまいましたが)、確かなものと自負しております。

実用新案権取得にかかる費用は?

弊所に実用新案登録出願を依頼された場合にかかる費用は以下の通りです。実用新案については、登録料を出願時に支払う決まりになっていますので、弊所から請求する費用も出願時のみとなっています。

なお、以下では、「実用新案登録請求の範囲」が10個の請求項で構成される場合を想定しています。

  • 出願料(調査料込み)
    弊所手数料:350,000円
    特許庁手数料:出願料    14,000円
           登録料3年分 2,100円+(10×100円)=3,100円
    合計:367,100円
  • その他
    実用新案権取得から4年目以降、登録料を1年ごと、または複数年分をまとめて支払う必要があります。なお、登録料は、年を追うごとに高く設定されおり、特に登録から7年目を境に大きく引き上げられます。登録料納付のタイミングで、実用新案権の経済的な価値などを勘案して実用新案権を維持するかどうかを見直すことが可能です。